死にたいときのための漫画紹介
死にたくなった時、漫画に元気をもらえることがあります。
普通の人が紹介するものとしては、感動する漫画が多いのでしょうが、僕が紹介するのは少しダメな感じの漫画ばかりです。
就職氷河期世代で仕事に疲れたか失業中で、(少なくとも心のどこかで)クリエイターも目指しているような、そんな人にはぴったりだと思います。
アホ汁レインボー
- 作者: ピョコタン
- 出版社/メーカー: 三才ブックス
- 発売日: 2007/10/01
- メディア: コミック
- 購入: 3人 クリック: 17回
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ゲームラボで連載中の漫画。作者のピョコタン(昭和52年生まれ)が毎月、さまざまなところを訪れたり、奇想天外なことにチャレンジしたりし、その体験を漫画にしている。「日本一まずい」と評判のラーメン屋、彦龍を広めたのも彼だろう。
アホ汁シリーズは何冊も出ており、赤のアホ汁と緑のアホ汁は、知人宅に泊めてもらった時、ピョコタンファンだったので、宿代代わりにAmazonで注文してプレゼントした思い出がある。僕はこのアホ汁レインボーが初購入になるが、予想以上にすごい。
普通に楽しめるものもある(ゲーム大会に参加したり、複数人で美術展を開いたりするなど)が、中にはとんでもなくすごいのもある。
まず、「ペットフード食べ比べ」。ドッグフードやキャットフードなど、ペットのえさを食べて味を評価するというもの。恒例でやっているらしく、もう数回目ということで、内容も過激。フェレットのえさや魚のえさなど、どう考えても人間が食べていいとは思えないものを食べている。大丈夫か。
もうひとつすごいのが、マルチ商法やってる親戚に勧誘されて実際に商品を購入し、セミナーにも行ったこと。そこで、システムと商品のすごさに感動している。で、その帰りに問題点に気づく。「勧誘と販売で実績が上がれば海外旅行や車など豪華なボーナスがもらえるって言うけれど、いったいそのお金はどこから来るんだろう?……あ、そうだ!僕が叔母さんから商品を買わされて払ったその金からだ!」と。最後は叔母さんにわら人形を打つシーンで終了。
ふつうマルチ商法の漫画って、反対(ときには賛成のもあり)、どちらかの確固たる立場で書かれるものばかり。こういう風に中立の立場で「あやうくだまされそうになるが気づく」っていう、リアルな経験って貴重なのではないでしょうか。下手なお役所漫画より、はるかに警告の効果があると思います。
そしてきわめつけは「自分も30歳だ。少しは大人らしいことをしないと」と言ってはじめたこと。この意欲が一気に暴走していく。
まずはスーツを着るピョコタン。いいぞ。大人らしくなった。そして次にその格好で行くのがなんとサンリオピューロランド!しかも一人で。
「30歳になって一人でサンリオピューロランドに(しかもスーツを着て)行く!!!」
これがピョコタンの考えるオトナの像らしい。しかも考えるだけでなく、きちんと敢行しちゃっています。
ピョコタンは一人でコースターに乗り、記念撮影もします。食事ももちろん一人だが、幼稚園か何かの団体さんと一緒でうるさいと話していました。てか、幼児の中で一人、絶対に浮いています。
考えてもみてください。もしあなたがサンリオビューロランドの店員さんで、三十路男が一人でスーツを着て現れたら、どうしますか?はっきり言って困惑しますよね。
漫画にも店員さんが困惑する様子が次々に書かれていましたが、実際の困惑ぶりは、そんなもんじゃないと思います。絶対に、何かの罰ゲームか?とか、関連企業の視察か?とか、いろいろ考えて困惑していたと思います。
正直、このインパクトを知ると、もはや「世間の目を気にするなんてことほどナンセンスなことはない」ということに気がつくでしょう。
他人に迷惑をかけるのではないなら、大抵のことは大丈夫だと気づかせてくれます。日本は恥の文化だといいますが、恥なんてものにとらわれすぎるから身動きが取れなくなるんです。
世間の目が気になる人は、ピョコタンを見習ってスーツを着て一人でサンリオピューロランドに行きましょう!小さな悩みなんてすぐに吹っ飛ぶことでしょう。僕も本気で死にたくなったら、死ぬ前に敢行すると思います。
ファミ通のアレ(仮題)
ほかにも紹介しようと思ったけど、ピョコタン先生のインパクトがすごすぎて長くなってしまったので、今日はここまで。残りは後日にとっておきます。
でも、もうひとつだけ。
同系統のシュールな漫画として、もうひとつお勧めしたいのが、もう絶版ですが、90年代前半にファミコン通信(現・ファミ通)連載されていた「ファミ通のアレ(課題)」。
マイナーなのでさすがにどこにも紹介はないかと思いきや……
Wikipediaに項目が出来ていたのに驚いた。
竹熊健太郎原作・羽生生純作画ということからもシュールさが分かるだろうが、とにかくナンセンス。本人たちが出てきてファミ通用の漫画を描こうとするが一向に描かずおかしなことばかりする、という内容。
多くはフィクション……というか荒唐無稽な内容だが、取材しているのもあり、これがすごい。
完全自殺マニュアルの作者と一緒に自殺スポットをめぐるという、とんでもない企画を敢行しているのが特にすごい。
そういえば本の帯にも、完全自殺マニュアルの作者が推薦文書いていたなあ。「死にたいときにでも、読んでいて元気をもらえる本です」みたいなことを書いていた気がする。
とにかくすごいのですが、絶版で入手困難なので、あまりプッシュはしません。
- 作者: 竹熊健太郎
- 出版社/メーカー: アスキー
- 発売日: 1994/10/01
- メディア: コミック
- 購入: 1人 クリック: 8回
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今見ると、中古価格が3980円からプレミアがついている模様。確かに当時のファンには忘れられないものだと思います。
ただ、最近では復刊ドットコムのようなサイトもありますが、そこまでして復刊させたいかと聞かれると、まだ正直微妙なところではあります。
と書いているうちに、読んでいたころの記憶がよみがえり、「なんて面白い漫画だったんだ!」という気分にさせられてしまいました。気がついたら復刊投票していました。
http://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=8953
↑こっちで復刊投票しているみたいなので、同士の方は投票してください。ペコリ。