この記事は、ツクールアドベントカレンダー2023、23日の記事です。
adventar.org
■はじめに
PC版RPGツクールで、最初に登場したのが、RPGツクール95である。
その後、尾島陽児氏が関わったRPGツクール2000が登場し、尾島氏が関わったツクールは、いずれも大成功を遂げている。
ここでは、尾島氏が関わったツクールと、
その反響などについて書いていく。
■RPGツクール2000
リリース日:2000/Apr/05
◆何もかもが革命的だった
当時としては、それまでのツクールで出来なかった事が多く「革命的」と言われた。今では当たり前の機能だが、皆、ツクール2000が出るまでは考えられないことだった。
サンプルゲームが先行で公開された時、以下のような機能が実装されたことに胸を躍らせている人が多かった。そしてそれは期待を裏切らなかった。
◇天候表示が可能
これまで「雨や雪を降らせるのはツクールでは夢のまた夢」と言われていた。
◇名前入力が可能
この新機能は、皆が待ち望んでいるものだったらしく、歓喜の声を上げる人も。
◇マップ上でアニメーション表示
演出を盛り上げる機能だが、正直「その発想はなかった」と驚いていた。
◆画面サイズは320×240
当時のマシンスペックを考えて、320x240という、
通常の縦横半分のサイズだった。
Windows98はもちろん、当初のバージョンではWindows95もサポート対象だった。
RPGツクール95では640x480だったので、縦横半分のサイズになったが、それゆえに素材が作りやすい、あまり処理落ちしない、などの利点があり受け入れられた。
逆に言うと、ツクール95の利点は、画面サイズが大きい事くらいとなり、急速に2000への移行が進み、ツクール95は役割を終えた。
◇余談:バカゲー作りの好事家に大人気だった時期も
ツクール2000の画面をキャプチャし、縦横2倍にしてツクール95に一枚絵として表示する、といった使い方もされていた。
例えば、ツクール95では名前入力が出来ないのに「名前を入れてください」と出て、ツクール2000の名前入力キャプチャ画面が出てきたりした(当然入力不可)
◆他のツクール2000での新要素
以下は、昨今のツクールでは当たり前になっているが、RPGツクール2000の時点で、初めて搭載され、いまも受け継がれている物である。
全部挙げると多すぎるので、特に際立った点をいくつか。
◇変数の導入
RPGツクール95ではスイッチが1000個だけだったり、最大4ページなど、長編が作りづらかった。
なお、Dante98II でも導入されていた。僕もツクール95とどちらで作るか悩んでいた。
当時「変数って何ですか?」という質問に「変な数です」とからかうのが地味に流行っていた。
◇コモンイベント
複数のマップから呼び出すことが可能である他、アイテムを使った時に起動させることも可能。
それまで特定の要素の為に各マップに同じイベントを配置する必要なケースはあったが、コモンイベントにまとめることが可能になった。
◇バトルイベント
戦闘中のターン毎や条件成立時にイベントを起こすことが可能に。
◆イベントコマンド戦国時代
◇イベントコマンドの使い方で切磋琢磨する人達
当時コンテストパークが開催されており、そこに応募する人も多かったが、特に、イベントコマンドを駆使して、思いもよらぬイベントを作る人が多かった。
自作戦闘やアナログ移動など、イベントコマンドを駆使した作品など多数公開されていて、「イベントコマンドでここまで出来るぜ」っていうのを見せてくれた。
YADOT(RPGツクール2000)
このサイトには、今でもツクール2000のイベントコマンドを駆使して自作メニューや自作戦闘を作る方法の基礎が掲載されている。
ドラホコ(隊列歩行)の方法などは一読の価値あり。
YADOT ドラホコ(主人公を列にして歩かせる)を作る
RPGツクールXP以降、スクリプトが導入されたことにより、
自作戦闘はスクリプト(プラグイン)で書かれることが多くなり、
ロストテクノロジー化しているが、イベントコマンドだけでも、
これだけのことが出来たということは、
ひとえに、ツクール2000の優秀さと、
それらの機能を最大限駆使した結果と言える。
■RPGツクール2003
リリース日:2002/Dec/18
尾島氏がかかわっていないので手短に。
◆不遇な点
◇当初バグの多さで問題児扱いされていた
現在ではすべて修正されている。
◇サイドビューがあるが若干不自然
これが売り文句のひとつだった。
ただ、テンポが間延びしており、「速度を2倍にすると丁度よくなる」という声もあり、それを実現する非公式パッチが作られたほど。
◆特筆すべき点
◇テンキーの1,3,7,9 で起動できるコマンドがある。
ゆめにっきなどで重宝されていたので、御存知の方も多いだろう。
◇意外にも海外で最近リリースされた
日本ではバグの多さから、そのイメージが払拭できていなかったが、
海外となれば話は別。
スクリプト要らずの要素に、関心を持った人も少なくない。
◆余談:アンデッドナイ
ツクール2003の戦闘では、
敵の名前が最大7文字までしか表示されない。
よって、「アンデッドナイト」と入れたつもりが、
最後の文字が削られた。
このことは匿名掲示板でバズり、伝説となっている。
■RPGツクールXP
リリース日:2004/Jul/22
◆スクリプト初導入(RGSS)
◆反響:2000から乗り換えない人が多かった
ツクールでプログラミングの知識が必要になった始まりだが、
これが原因となり、2000からXPに移行しない人が多かった。
問題点を見ていく。
◆問題点1:スクリプトを書き換えないと、ほとんど何も出来ない
スクリプトを簡略化する目的で、イベントコマンドで実行できる機能は制限されていた。デフォルトでは本当に最低限の機能しか実装されてない。
海外で初めて導入された動画が伝説になっている。
製品名を連呼するのが。
www.youtube.com
動画の 0:23 で「Requires No Programming Knowledge」と出てくる。
確かに「プログラミング知識不要」でも簡単なゲームは作れたが、
実際には、「RGSSを理解して書き換えないと、本当に何も出来ない。
◆問題点2:当時のPCでは若干重たすぎた
他の原因としては、当時のPentiumIII 450MHzあたりの環境では、
ゲームが処理落ちしていた。
PentiumIII 800MHzくらいでないといけないが、
当時これはハイエンド機。
とにかく、発売から2年くらいは「重たい」という話を聞いた。
※現にMoon Whistle XPも
まずは「スクリプトの軽量化」にこだわり、
数百のイベントが置いてあるマップでも処理落ちしないように
相当なチューニングを行った
次のVXが出るころ(2008年)には解決されたのだが。
◆問題点3:認証の導入
ひとつのPCにしか入れられない対策。
25桁のシリアルナンバーを入力するのだが、結構これで悩まされた。
なにしろ、ハードディスクを付け替えて容量を増やしただけでも
「別のPC」と見做されて認証が通らないことがあった。
これは、その後のツクールでも継承され、厄介な問題になっていた。
なお、現在(VX Ace以降)では、インストール時に1回認証すればいいため、ようやく、この点での不満はなくなった。
このあたりはいろいろと大人の事情が関わっているとか。
◆初のスクリプト搭載ゆえのあれこれ
RGSS1は、分かりやすさを優先するため、
スクリプトがあまり洗練されていない。
これを見て、RGSS1のスクリプトは悪い、という意見を見るが、
その時の事情に合わせたものである。
尾島氏は皆に、スクリプトに慣れさせたい思いがあったとみる。
しかしスクリプト素材が増えてきたので、VXで考えを変えた。
よってスクリプトについて……
書き換えることを前提に作られている。
プログラミング初学者のために、1行ずつコメントが付いているうえ、
用語もスクリプトの名前と言っていた。
VX以降、プラグインのために使われる「メモ」がなかった
◆ツクール界の異端児
このように、ツクールXPは異端児ともいえる仕様になっている。
VXやVXAceは、MVへのコンバータが出ているようだが、
XPでは難しいだろう。
◇タイルセット仕様が独特
無制限にタイルを設定できる。
また、オートタイルの仕様がVX以降と異なる。
よってここは移植の際の鬼門になる。
ただし、ツクール2000でオートタイルが面倒な人には、歓迎された。
また、タイル数に制限がないため、一枚絵をタイルにして描く……なんて荒業もあった。
◇「高さ」の概念
複雑すぎたのか、次からは「通常キャラの上/同じ/下」に変更された。
しかしXPを使わないと実現できないマップもある。
例として青鬼の図書館を挙げる。
本棚が並んでいて、「本棚の下にいるなら通常キャラの下、
本棚の上にいるなら通常キャラの上」というタイルは
XPだからこそ出来たこと。
◇3層マップ
VXやVXAceでは、下層タイルと上層タイルの合計2層だったが、
ツクールXPは3層に任意のタイルを置くことが出来る。
しかも前述どおり、タイル数は無制限。
その為、マップにこだわる人には愛されていた。
◆RPGツクールXPのその後、そして現在
ツクールVXが登場し「スクリプト素材」の考え方が定着してからは、
ほぼ使われなくなった。
実際、それ以降のツクールを見てからXPのスクリプトを見ると、
あまりにも構造化が貧弱で、今更これを使いたいとは考えない。
「Moon Whistle XP」がツクールXPを採用したのは、640x480、
オリジナルのRPGツクール95と画面サイズが一緒だったからである。
「青鬼」もツクールXP製だった。
青鬼2016(XP→MV移植前提)の話が来た時、
「これはツクールXPの熟練者にしか、勤まらない」ということ
「僕はツクールXPを6年使い続けた僕以外にはありえない」と快諾した。
他にも名作は多数出たが、今から1から作るなら、
他のツクールで作るのがいいと思う。
◆補足:XPで導入された新機能
◇セルフスイッチの導入
ひとつの宝箱のためにひとつのスイッチが必要、といった煩雑さを無くした。
◇地形タグ
各タイルに0~7までの数値が設定可能。
専ら、スクリプトで使用するためだけに準備されている。
最近のツクールではリージョンがあるが、XPにはまだなかったので、
重宝した人も多いのではないか。
VXではなくなったが、要望が多いため、VX Aceで復活した。
■RPGツクールVX
リリース日:2007/Dec/17
◆「スクリプトを導入した2000」と歓迎される
「スクリプトを導入した2000」といえるほど、
多くの機能がデフォルトで搭載され、
無理にスクリプト素材を作らずとも
それなりのゲームを作ることが可能になった。
これによって、ツクール2000から乗り換える人が増えた。
◆VXで導入された新機能
◇オート影つけ初導入
意識せずとも、比較的自然な形で影つけが出来るようになる。
しかし、後のツクールで搭載される影ペンがないため、
影を制御することが出来ない。
MQ ONLINE BLOG : VX:影について
◇フキダシアイコン
今となっては必須とも言える。画面上のどのキャラの台詞なのかを
視覚的に表示するのも助かる。
◆VXのタイル仕様
タイル仕様に、若干癖があり、最初は戸惑う。
でも、使いこなせればベストになる。
ktakaki.hatenablog.com
◇今日まで続くタイル仕様はVXで完成していた
タイル仕様(A1~5と、B,C,D,E)はここで基礎が作られた。
VX Ace、MV、MZ、タイルの仕様は変わっていないが、
それはVXからの仕様を連綿と引き継いでいるのである。
今ではすっかり慣れたけれど、最初僕はこんなことを書いていた。
使って分かる、今回のタイルセット - 神無月サスケの波瀾万丈な日常
「じんましんが出そう」と。慣れるまでは困惑してた僕。
◇地味に不便なタイルの機能
タイルセットはA~Eで予め準備する。後のVX Aceと異なり、
このタイルが全てで共通しており、入れ替えが出来ない。
このため、長編を作る場合、やりくりが必要になる。
昨日の追記:タイルセット変更に関する考察 - 神無月サスケの波瀾万丈な日常
◇地形タグがないのも、地味に不便
不要と判断したのかもしれないが、
スクリプトを書く人にとっては、結構困る。
リージョンもまだVXにはなかった。
◆上位互換のVX Aceに乗り換えた人多数
前述の「地味に不便な部分」を払拭する目的もあり、
VX Aceが出ると、それに乗り換える人がほとんどだった。
■RPGツクールVX Ace
リリース日:2011/Dec/15
◆完成度の高さに皆飛びついた
VXで不便だった部分を極力改善し、新機能も備えた。
結果、ツクールのひとつの完成形を見たと言ってよい。
現にMVやMZのベースになっている部分が非常に多い。
◆コードネームRPG ツクール VX2
もともとRPGツクールVX2 というコードネームで開発されていた。
会議で VX Aceという名前に決まったようだが、定着度の高さを見ると
結構センスのいい名前なんじゃないだろうか。
だが、大きな変更点が多く、別のツールと言ってもいい。
◆VX Aceで導入された新機能
以下は全て、MVやMZに受け継がれていった仕様である。
RPGツクールVX Aceの位置づけ - 神無月サスケの波瀾万丈な日常
◇「特徴」の導入
これによりデータベースでの設定が格段にやりやすくなった。
ただし、慣れないうちは、大事な特徴(例:ステートの耐性率)を
設定し忘れるということもありがちなので、慣れていくことが大切。
◇複数のタイルセットを設定可能
VXと異なり、外観、内装などと、
タイルセットを複数持つことが可能になった。
RPGツクールVX Aceの位置づけ - 神無月サスケの波瀾万丈な日常
外観用、内装用、フィールド、といった具合である。
◇サンプルマップ搭載とダンジョン自動生成
マップ作成の補助をしてくれる機能。
VX AceはVXの上級者向け……と思われがちだが、
初心者にも配慮された部分もあるということ。
◇TPの導入
必殺技などでの使用を想定された、0~100の間で推移する数値。
当時は何の略か分からなかったが、
MVのヘルプで「タクティカルポイント」とコメントがあったので、
多分それである。
◇影ペンの導入
VXと同様、オート影つけがあるが、影ペンのおかげで、
影の不自然な部分を修正し、
さらに自由に影を付けられるようになった
◇リージョン導入
フィールドでの敵出現エリアの設定や、
スクリプト素材で参照できる要素。
◆RGSS3:洗練され尽くされたコアスクリプト
RPGツクールVX AceのRGSS3を読み解く - 神無月サスケの波瀾万丈な日常
Ruby1.9をベースにすることで高速化し、
スクリプトの方も、行数を減らすために、
リフレクションなど高度な機能を使っている。
特に、メッセージ表示に Fiber を使っているのは、
Rubyに明るい人ならニヤリとするだろう。
RGSS2と同じメソッド名を使う部分も多く、
RGSS2とRGSS3の双方で利用できる素材も多かった。
◆現在でも使用者は一定数いる
ツクール2000を卒業し、本格的に作りたくなったら、
VX Aceでやってみよう、という人が少なくないのか、
今でも根強いファンが多い。
VX Aceに慣れれば、ツクールMVやMZにも苦労しなくなるといえる。
■RPGツクールMV
リリース日:2015/Dec/17
「Multi View」の頭文字から名付けられたMV。
◆皆が待ち望んでいたスマホ対応
◇2012年ごろからあった「スマホ対応ツクール」の要望
「いつまでツクールはWindows専用なんだ」
「スマホ対応を考えるべき」僕も提案したが受け入れられなかった。
3年後。2015年初夏に話が来た。
◇初のマルチプラットフォーム
JavaScript + HTML5で記述される。なお、その結果……
「Rubyと異なりJavaScriptは入門書が多いから、
今回スクリプト入門は作らない」
「より便利なテキストエディタを皆使うだろうから、
ツクールにスクリプトエディタは搭載しない」
といった尾島氏だった。僕は一抹の不安を覚えたが、
多くのプラグイン作者が誕生し、僕の懸念は杞憂だった。
◇VX Aceの仕様を引き継ぎなおかつ機能追加
僕は、ツクールをスマホ対応にするなら、
機能の少ないコンパクトな物になると思っていた。
しかし実際は、VX Ace以上に多機能な要素を詰め込んでいる。
「こんな大規模なJavaScript、果たして本当にメモリ足りるの?」って
個人的に疑念持ってたけれど、
きちんと動いていることに驚きだった。
◆前評判の段階で注目、公開後も凄い熱気
海外でβ版が出回り出したころから、既に話題になっていた。
この頃トモタカさんが、かなりの分析をしてくれた。
Slashdot JapanでもツクールMVの技術的側面から書かれた記事を見かけた。
◆MVで導入された目玉新機能
◇サイドビュー選択可能
◇サイドビューのキャラも出力する「キャラクター生成」
VX Aceでもちびキャラ作成ツールがあったが、今回、機能強化された。
特に、SVアクションの18種類のアニメを作れるのが良い、
いちいち描く暇が省かれる。
◇上層タイルをふたつ設定可
上層タイルは複数重ねたい時がある。
そこで上層タイルをふたつ重ねられるようになった。
新機能活用講座|RPGツクールMV
なお、3層化と言っているが、実は下層と上層の間に、
もう1レイヤあって、厳密には4層である。
◇スクリプト素材からプラグインへ
スクリプト素材以上に使いやすい。
ヘルプも多言語対応されている。
これまでと異なり、公式プラグインが登場し、
VXAceまでは「スクリプト素材」がサポート外だったのに対し、
プラグインは定着した。
プラグイン制作のトリアコンタン氏も、この頃から注目され始める。
◇画面サイズの変更
CommunityBasic.js という、プリセットされたプラグインで
解像度の変更が可能に。
◆天才だからこそ成し遂げられた偉業
多機能で安定した物を作るのが、どんなに難しいか。
かなり無理難題に見えることをやってしまったのが尾島氏。
MVリリース後、問題はたくさんでたが、次々に直していくのが凄い。
Ver1.4.x になる頃には、殆どの問題が解決されていた。
尾島氏と、ドワンゴの有志による技術提供も凄い。
◆頻繁に行われるアップデート
MVの現在の最新版はVer1.6.3。
問題が起きてもすぐに修正が行われていた。
◇Ver1.3.xまであった「メモリブロート問題」
当初、読み込んだ画像が使われなくなった際、
メモリを解放しきれず、
使っていると重たくなってくる問題があった。
だがそれに対する対応プラグインも迅速に作られていた。
◇プラグインのJavaScriptで、ES6が使用可能に
中盤までは、プラグインのJavaScriptは、ES5だった。
しかし、Ver1.6.0あたりからは、ES6も使用可能になり、
プラグイン作者が手間を省けるようになった。
◆VX Aceから乗り越えない人もちらほら……
MVリリース後2年弱くらいは、
VX Aceから乗り換えない人が結構いた。
理由は、「MVは処理が重たい」というのが一番のようだった。
ネットワーク経由でのデータ読込にも対応しているため、
ローカルからのファイル読込にも若干のタイムラグがある……
そんな状態を嫌ってのことだと思われる。
ただ、MZになった今は、もうその声は聞かれなくなった。
◆スマホ対応というが……
キャンセルやメニュー表示に「二本指タップ」が分かりづらい。
僕がスマホ用に書いたプラグインが導入されないままアプリ化されたのを僕はまだ許していない。おかげで操作性のせいで低評価が多くついた。
この点はMZで改善される。
◆その他、MVの新機能
◇些細だが重要な見かけの変更
イベント(人物など)が6ピクセル上に表示されるようになった。
宝箱のような例外はファイルの頭に「!」を付けることに。
カウンターが引き延ばされるなど、より見た目重視に。
■RPGツクールMZ
リリース日:2020/Aug/21
M「V」の上を行く、という意味で名付けられたM「Z」。
◆MZの主な特色
現在進行形で皆さんご存知でしょうから、
軽くいくつかの列挙に留めます。
◇エディタUIの改善
例:各レイヤ毎にタイルを置くことが可能に
また、バージョンアップする度に(執筆時点ではVer1.7.0)
使いやすさが上がっている。
◇TPB(タイムプログレッシブバトル)導入
従来のターン制に加え、TPBウェイトとTPBアクティブが追加された。
◇スマホ環境での動作の強化
常にメニューを開くボタンや、戻るボタンが表示されており、
二本指タップの必要がなくなった。
◆MVから乗り換えない人も……
海外では、スクリプトを魔改造する人が多く、MZは「MVのメジャーアップデート」という考えがあるからか、
それにフルプライス出すのはちょっと……と、
浸透するのが遅れて行った。
また、MVとMZでは、プラグインに互換性はない
(一部両対応のものもある)。
よって、多くのプラグインがMZで出来るまで待つ、という人もいた。
◆今こそMZに乗り換える時期
プラグインも充実してきている。
開発はMVより断然MZの方がやりやすい。
MVで制作中のゲームがある場合でも、
MZがセールの時に購入するといいかも。
■おわりに
ここまでシリーズを説明してきたが、
昨今のツクールでは、尾島氏の哲学が一番活かされている、
といっても過言ではない。
新しいツクールが出ると、必ず改善点などの拡張を施していく。
それらの積み上げてきたものを全て入れたのが、
ツクールMZだと言える。
今後、新しいツクール(Maker)が出ると、
どんな新機能が加わるのか、興味は尽きない。