神無月サスケの波瀾万丈な日常

神無月サスケのツイッター(@ktakaki00)を補完する長文を書きます。

ツクVXの課題になりそうなこと

さて、ここまではツクVXのマップチップのいい点を書いてきました。RPGツクールVXのキーワードは「やさしさ」だといいますが、そのキャッチフレーズがだてじゃないことが分かるでしょう。

しかし、いいことばかりではありません。

『やさしさ』と『自由度の高さ』はトレードオフ

トレードオフとは「両方を追求しようと思ったら、あるレベル以上は、もう一方を犠牲にしないといけなくなる」という意味です。

人間、自由度が多すぎると、出来ることが多すぎて、仕込みに手間がかかり、使いづらくなる。ツクXPの不評の理由は、まさに自由度の裏返しだったといえます。

VXは、とても『やさしい』です。しかし、それはあえて自由度を下げることによって生まれたものなのです。

このため、自由度の高さを抑えたVXは、やさしくなった半面、ツクXPの自由度に惚れた人には窮屈に感じる人もいると思います。

一体、どんな自由度がなくなったのか、見てみましょう。

スクリプトで地形の操作や制御がしづらくなった

全面的に、スクリプトで地形を操作、制御する事が大幅にやりづらくなっています。

まず、最初に目に付くのが、地形タグがなくなったことです。RPGツクール2000にあった地形IDに該当するものが見当たりません。このため、細かい地形の制御が難しくなりました。

また、これまでは3層に分かれていたので、そこを利用していた人もいたのではないでしょうか。
余談:ムンホイXPでは最上層を特定な情報を入れる層に使っています。(マップ読み込み時に最上層の情報を処理し、そこに0を代入しているのです。)

スクリプトの醍醐味を、マップに対して技巧的なことをすることだと考えていた人にとって、ツクVXのタイルセットには残念ながら不向きかもしれません。

余談:通行判定はツクXPよりツクVXの方がやりやすい

一方、スクリプトでマップ関連処理の変更を行わない人にとっては、シンプルになった分、使いやすくなっていることでしょう。

一つ例を挙げると、通行判定のシンプル化。

ツクXPで悩みの種だったのは、通行可能判定でした。壁に隠し通路を作るときなど、かなり困難でした。皆さんはどうしていたでしょうか。

しかし今回はイベントにプライオリティ表示位置(通常キャラの下の上か、同じか、下か)が設定可能になりました。これを使えば、通行判定が簡単に変更できます。

  • 通行可能で透明なタイルを使用し、プライオリティを「〜の下」にしたイベントを置けば、通行不可な地形も通れるようになる。
  • イベント画像をなしにして、プライオリティを「〜と同じ」にしたイベントを置けば、通行可能な地形も通れなくなる。


タイルセット素材を作成する人には覚悟が必要

また、タイルセットがひとつになったことで、自作素材を作成する人には、ある程度の覚悟が必要になりそうです。

それは、『雰囲気の統一』に慎重になる必要があるということです。

異なるマップ同士であれば、雰囲気が違うのは当然です。しかし、同じマップ内に違う雰囲気のタイルがあると違和感を覚えるでしょう。

タイルセットが複数に分かれていたころは、タイルセットごとに雰囲気を統一すれば十分でした。

しかし、今回はタイルセットがひとつにまとめられています。このため、「違うマップで使うつもりで作った」つもりでもいつの間にか雰囲気の違うタイルを置いてしまう、そんなことが増えそうです。

よって、ツクール2000や2003では、「部屋」「ダンジョン」など、テーマを決めて作成していた人も、その他も全部雰囲気に合うように作らないといけない、という無言のプレッシャーがあるかもしれません。

このあたりをどう割り切っていくか、考えておくべきでしょう。

使い込んでくると窮屈になってくるかもしれない

ツクXPでは1タイルセット中で使用可能なタイルの種類の数は無制限でした。

一方、ツクVXはタイルの種類の数が決まっており、増やせません。

もっとも、通常の使用には問題ない数かもしれません。

しかし、プレー時間が10時間を超える壮大なスケールの話を作りたいと思い始めた頃から違ってきます。タイルの制約にあわせて、タイルの種類を選んだり、パノラマ機能(2000で主流だった、サンプルゲーム『III』でもお馴染みの機能)で表示するなど、ツクVXの制約と向き合わねばならなくなるでしょう。

いちユーザーの本音:ツクVXはツクXPと共存して欲しい

以上から、僕の主観をまとめますと「まず完成させたい人はVX」「本命は(熟練者は)XPで」「XPで完成させられる熟練者はVXで皆に素材提供を」ということになりそうです。

この傾向、今回は、タイルセットの特性だけを見ましたが、全体的に感じていることです。

つまりツクVXとツクXPは共存共栄してほしいと思うのです。『VXがあればXPはいらない』ということには、ならないと思いました。

ですのでエンターブレインさん、どうかXPの方の販促およびサポートも今後もよろしく頼みます(微笑)。

蛇足:ツクXPは仕込みが大変。2008年が当たり年かも

ツクXPは仕込みが大変です。VX作品が出てくる中、ようやく来年、XPの大作がお目見えしてくるころかもしれません。XPに魅せられた人間は、その「仕込みの大変さ」が魅力だったのです。

VX作品とXP作品をプレーしながら皆さんも共存共栄を楽しんでもらえたらいいと感じています。