神無月サスケの波瀾万丈な日常

神無月サスケのツイッター(@ktakaki00)を補完する長文を書きます。

RPGツクールVX Aceの位置づけ

さて。先のセクションで RPGツクールVX Ace のスクリプトであるRGSS3について説明したのですが、それ以外の機能についても簡単に見ておきましょう。

ツクールWebなどで既に紹介されている部分が多いですが、僕が気になる機能をピックアップします。

VXがベースにして拡張されたタイルセット構造

タイルセットの仕様を見てください。ヘルプの「素材規格」に載っています。見てもらって分かるのは、ほぼVXのそれを継承しているということです。VXの素材がそのまま使えるような気がします。(一応VX互換モードというのもあるし)

それ以上に嬉しいのは、RPGツクール2000のように、タイルセットがマップによって複数準備することが出来るようになったことです。

VXでは、タイルセットA〜Eは全ゲーム中で固定であり、長編ゲームを作る人にとっては足かせになっていました。もちろん、スクリプトで対処することも出来ましたが、エディタ側での対処が非常に大変でした。VX Aceではこの問題が解決したのは大きいと言えるでしょう。

画面サイズは変更可能。最大サイズは相変わらず640x480

VX AceはVXと同様、544x416の画面サイズを採用しています。VXではスクリプトによって最大640x480まで変更可能で、それにあわせたスクリプトも公開されていました。VX Aceでもこの変更は健在です。画面サイズはもう少し大きく出来るようになるか期待していたのですが、相変わらず640x480でした。

今回も、640x480用のスクリプトを作る人が現れるのかもしれません。しかし今回は一つ注意する点があります。それは今回はVXと違い「画面内かどうか」を判定する関数が導入されたことです。(Game_Event#near_the_screen?)軽量化のために導入された関数ですが、画面サイズを変えるときは、ここも変更することを忘れないようにしなければなりません。

戦闘背景は、VXタイプ(うねうね)と背景ありから選択可能

戦闘背景についてですが、背景を設定することが可能ですが、一方で、戦闘背景を指定しない場合、VXにあったうねうね背景になります。このため、どちらか好きなほうを選ぶことが出来るわけです。

追記11/12/04 : フィールドタイプは例外

上記の件ですが、戦闘背景を設定しない場合うねうねになるのは、タイルセットのモードをダンジョンタイプなどにした場合だけで、フィールドタイプにした場合は、戦闘に入ったときのタイルに固定された戦闘背景になります。

これはスクリプトで設定されており、具体的には Spriteset_Battle クラスの119行目から201行目、normal_battleback1_nameメソッドとnormal_battleback2_nameメソッド、そこから呼び出されるメソッドで定義されています。

「特徴」という機能の可能性

今回、能力の細かい設定ウィンドウがなくなり、アクター、職業、武器、防具、敵キャラ、ステートに共通の機能として「特徴」が導入されました。「特徴」には、命中率や回避率、会心率の増減から始まり、回復率、装備可能なタイプ、スキルの増減、スキルの使用許可など、あらゆるものが選べます。職業や敵キャラにその職業や敵キャラに一般的に効果があるのですが、装備につけた場合は、その装備を装備中に、ステートにつけたらステートの間だけ可能になります。つまり、装備中だけ特定のスキルを覚えたり、特定のステートの間だけ可能になる装備、などという変則的なことも可能なのです!使い方は貴方次第、といったところでしょうか。

なお、スキルとアイテムには特徴の代わりに「使用効果」があり、これも羅列することによって複数の効果(ダメージ、ステート付加や解除、などなど)を設定できるようになっています。

結論:「RPGツクールVX Ace」は「強力な RPGツクールVX」である

他にも機能を沢山羅列してもいいのですが、ツクールWebにも書いてあるし他の人も書くでしょうから、僕が書くのはこのくらいにしておきましょう。

こう見て全体的に言えるのは、VXAceは、XPからVXの時にあったようなエポックメイキングな変化はないのですが、地味に便利に、地味に強力になっています。それは、「やさしい」を売りにしていた VX に慣れてきて VX に慣れた人がより強力な機能を欲しくなったときに、痒いところに手が届く出来だと言えます。

逆に言うと、完全な初心者はVX(あるいは2000)で一本作り上げてからでもいいかもしれません。前述の「特徴」などは、VXなどで制作経験がある人でないと最初は何をやっていいのか分からず面食らう可能性があります。ただ、そんな初心者でも、最初から高度な機能に触れたほうが成長する人もいるでしょう。あえてVX Aceを最初のツクールとして飛び込んでみても、悪くないかもしれません。

VX Aceは、いろんな意味で上級者向けと言えます。可能なゲームの制作の幅も大きく広がっています。惜しむらくは値段が若干高いこと。VXを持っている人ならアップグレード割引、とかそんなサービスがあってもよかったんじゃないかと思います。しかし、その値段を差し引いても、手に入れる価値のあるツクールだと思います。学生さんはお年玉をためて購入する価値はあるでしょう。

追記 12/01 20:33

体験版、公開されました!

http://tkool.jp/products/rpgvxace/index.html

ついでに4つのサンプルゲームが紹介され、そのうち一つは実際にダウンロード&プレイも可能です。かなり凝ったことをしている(例:新イベントコマンド「アイテム選択の処理」を使ってテレポートを実現)ので、プレイの参考になると思います。