WikipediaをWikiと略すのは、消防車を車と略すくらい不適切だ
最近、頻繁に見かけるのが、WikipediaをWikiと略している誤用。今更かもしれないが、どうしても気になるので声を上げておく。
WikipediaをWikiと略すのは、消防車や救急車を『車』と略すくらい間違っている。
消防車は、車の特別な形である。すなわち消防車は車である。しかし、その逆は成り立たない。
WikipediaとWikiの関係も同様である。WikipediaでないWikiは多数にあるし、むしろその方が多数派である。
(補足:なお『WikiもWikiWikiの略称だろ』というツッコミが入りそうだが、車と言えば自動車を指すのが定着しているのと同じようにWikiも定着した略称であるとみなす。)
誤用が多発した背景に、Wikiの知名度不足がある?
それでは、なぜこんな誤用が広がってしまったのか。
僕が推測するに、比較的多くの人が、Wikiというものを見慣れていないからだろう。ひょっとすると接したことのある唯一のWikiがWikipediaだった、という人もいるかもしれない。あるいはWikipediaは知っていても、Wikiという単語を知らない人がいるのかもしれない。
レアな苗字を持つ有名人に対して起きる現象に似ている
この問題、以下のような現象に似ていないか。
「サンコンさん」と言えば日本ではほとんどの人がギニア人の「オスマン・サンコン」を思い浮かべる。しかし地球上にはもっとたくさんの「サンコンさん」がいるはずである。それなのに日本人が通常会話で「サンコンさん」と言えばほぼ例外なくオスマンサンコンさんを思い浮かべる。留学中に友達になった一般人のサンコンさんの可能性もあるのに、そのようなことは考えないだろう。
Wikipediaを罪悪感も違和感もなくWikiと略すことにも、似たものを感じるのだが。
すなわち、Wikipediaと(それ以外の)Wikiの差を、オスマン・サンコンさんとそれ以外のサンコンさんほどの隔たりのようなものだと多くの人が認識しているのではないのか。それを知ったとき、とても悲しくなった。
もっとWikipedia以外のWikiのことも知ってください(涙)
Wikipediaと比較したとき、それ以外のWikiが「それ以外のサンコンさん」レベルの有用性だとは到底思えない。有用性の割にあまりにも知名度がWikipediaに比べて低いといえるだろう。
我々は「それ以外のサンコンさん」の立場でしかない(Wikipedia以外の)Wikiが、どうすれば「オスマン・サンコンさん」に並ぶ知名度を獲得できるか、そんな課題に直面しているといえる。
だから僕は(Wikipediaでない)Wikiがもっと市民権を得るまで叫び続ける、
『WikipediaをWikiと略すのは、消防車や救急車を『車』と略すくらい間違っている』と。
補足:今日から『ウィキペ』と呼びましょう
はてなキーワードを見ると『ウィキペ』なる言葉が登録されていた。スコアを見る限り、あまり評判が良くないようだが、この言葉を支持しないでどうする。
皆さんもウィキペディアをウィキと略すのはやめ、ウィキペと略しましょう。
『ウィキペ』、流行りますように。
参考リンク
同じ考えを持つ人は多い。『WikipediaをWikiと略す』で検索するするだけでも、多数ヒットする。他の表現にすると、まだまだ多数ヒットするだろう。
いくつかめぼしいのを紹介しておきます。
- 『"ウィキペディア"が"ウィキ"と呼ばれている件について。』
- http://techno-st.net/2006/12/wikipedia.html
- 僕のこの多分に感情的な文章よりも冷静に、分かりやすくまとめられている。
- その中にもリンクがあるが以下のサイトにも疑問が呈されている。
- 『Wikipediaをwikiと略すヤバさを何に喩えて説明すれば理解できるのだろうか』
- http://blawat2015.no-ip.com/~mieki256/diary/200703176.html
- このサイトを見て「とおりすがり」でコメントしたのが僕。それがこのエントリをしたためるきっかけとなった。
きりがないのでこのくらいにしておく。