神無月サスケの波瀾万丈な日常

神無月サスケのツイッター(@ktakaki00)を補完する長文を書きます。

任天堂「Wii」とマイケルムーア「シッコ」

そういえばプレステ3が発売されたんだってね。来月頭にはWiiも出る。この新ゲーム機ラッシュの中、せっかくだからWiiについて書いてみたいと思う。

NOAがWiiのCMをYoutubeで公開

http://www.nintendo-inside.jp/news/194/19459.html
Youtubeにはお世話になっている人も多いだろうが、なんと任天堂はここに広告として動画を入れるという。
記事によるとどうやらWiiは、非常に宣伝費をかけているようで、任天堂の本気が感じられて嬉しい限りだが、Youtubeを利用するあたりが、我々プレイヤー目線に立ってくれているのが伺え、とても痛快だ。

半年前にWiiという名前について書いた

Wiiと言えば、半年前、僕はこんなことを書いた。
id:ktakaki:20060501#p1

Wiiという名前の公表直後、あまりにもマイナスイメージの意見が多いことに腹を立てて反論を書いたものだった。結構共感してくれる人が多かったのか、この後、徐々にプラスイメージの意見も見かけるようになってきた。

なお、「この名前は3ヶ月で浸透する。そのころ任天堂は次なる発表をするのでは」という文章を書いている。実は僕は当時、バーチャルコンソール関連で何か新しい発表(それも、Wiiがアマチュアクリエイターに間口を広げる可能性を示唆する)があるのでは?と思いこういう文章を書いたが、それは残念ながら当たらなかった。

Wii will rock you

しかし、Wiiという名前が違和感なく受け入れられるようになったことは、ほぼ間違いないようだ。

それを象徴するように、一つのキーワードが見つかる。それが冒頭のWii will rock you」である。

Wii will rock yougoogle検索すると、なんと100000件以上がヒットする。

例の音楽に合わせたWiiに関する素晴らしい動画も多数発見できる。

めぼしいものをいくつかピックアップしよう:
http://www.youtube.com/watch?v=Ze40xja4_iw
http://www.youtube.com/watch?v=3-DThG9AKiE

最初はWiiという名前を聞いて失望したり反感を示していた人たちも、きっと今では「Wii will rock you」と絶叫しているに違いない。

補足:Wii will change everything.

http://japanese.engadget.com/2006/04/27/wii/
もう一度、この記事を引用しておく。Wiiは全てを変える。我々は全てを変える。この言葉は特に印象に残っている。

マイケルムーアの新作はシッコ(原題)

さて。Wiiという名前が最初英語圏で受け入れられなかった理由にWii幼児語で小便を意味する「wee」を連想させたからだという。英語圏でない人にとって、これは大きな問題ではなかった。

しかし、当時ウェブの反響を見ていると「じゃあもし任天堂が新ハードに『シッコ』って付けていたら、それでも絶賛しただろうか」という問いかけを見かけたことがある。(ソースが見つからない、あしからず)

確かにそれなら一瞬迷っただろう。しかし当時の僕は「実際にそうなってみないと、分からないに決まっている」とスルーしていた。

しかし、そんな僕に疑問を投げかける作品が登場した。それが、マイケルムーアの新作だ。
http://cinematoday.jp/page/N0009059
トロント映画祭でマイケル・ムーアが2年ぶりにほえる!「シッコで日本に行くよ!」(9月10日)

内容はと言うと、医療問題にメスを入れるという硬派なもので、味付けもきっとマイケルムーアお得意の、日本で言うと電波少年的な、ドタバタ風なものなのだろう。そこについては、門外漢の僕は詳しく語らない。

問題はタイトルだ。日本人にとって、非常に気になってしまう。シッコ(Sicko)はあくまで「原題」と注釈されているが、このままのタイトルで公開するのだろうか。しかし、その可能性は低くない。

一方、この名前でも英語圏の人間には気にならない。これはまさに、Wiiの場合の逆だ。記事より引用しよう。

北米で開かれているトロント映画祭でマイケル・ムーアの新作『シッコ』(原題)のフッテージ(本編のダイジェスト版)上映がされ、監督のマイケル・ムーアが上映会場に登場した。
(中略)
「シッコ!」「シッコ!」のコールが鳴りやまずスタンデングオベーションがいつまでも続いていた。

こうして、この映画のタイトルが、「Wii」の時に英語圏の人間が感じた違和感を今度は日本人に突きつけてくれることになった。よりによって、突きつけてきたのは、アメリカを相手に戦っているといえるマイケルムーアである。思えばあの時、僕達は無神経に「小便に近い名前だなんて、英語圏の人間は騒ぎすぎだ」などと感じていなかったか。いざ、日本語でその現実を突きつけられると、言葉を失ってしまう。

しかし、今回は我々が受け入れる番なのだ。日本人で、任天堂のファンで、マイケルムーアのファンでもある人は結構いると思う。そんな我々にとって、今回、「わが身をつねって人の痛みを知れ」という現実を、存分に味わって欲しい。きっとこの困難を乗り越えたとき、我々はもう一段階成長できるのだ。

補足:シリアナ(Syriana)

シッコが原題のまま出る可能性が低くないと書いた論拠について。

ネットを調べていると、こんなタイトルの映画を発見したからです。
http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=5408
シリアナ

こちらも内容は硬派なのですが、タイトルが日本人にとって様々なことを想像させてしまいそうだ。にもかかわらず、原題のままです。

ただし、こういう意見もある。
http://movie.maeda-y.com/movie/00682.htm

ここより引用させていただきます。

また、「シリアナ」という映画のタイトル(原題と同じ)について。
(中略)
一部では批判(安直な邦題だ、など)もあるようだが、じつは、そうした批判は的外れもいいところなのだ。

シリアナとは、イランとイラク、そしてシリアがひとつの民族国家を形成した場合の想定国家の名前。これは、ある程度中東問題に詳しい人なら誰でも知っている。そしてこの映画は、ここまで解説してわかるとおり、「何も知らないお客さん」を対象にしたお知らせ映画ではなく、このタイトルを見て、「ああなるほどね」と合点がいくレベルの人たちにこそ、劇場にきてもらいたいという作品なのだ。

だから、日本の配給会社が原題どおり『シリアナ』と名づけたのは、非常に誠実なことで、評価すべきポイントなのである。

タイトルに意味があるのなら、仮に一部言語で違和感があるタイトルだとしても安直に無難な名前に改変するべきではない、これには強く共感する。ほかでもない、我らが任天堂Wiiがそのスタンスで名づけられたことを忘れてはいけない