神無月サスケの波瀾万丈な日常・はてなブログ編

神無月サスケのツイッター(@ktakaki00)を補完する長文を書きます。

ダーケストダンジョンMVコラボ開発秘話

今年8月、日本語版ダーケストダンジョンが発売されました。

それに先立ってKADOKAWA様から、本ダーケストダンジョンをベースにした
RPGツクールMVでのコラボゲームの依頼が来ました。
僕がダーケストダンジョンをクリアしているから
それでこの話が来たのだと思います。

詳細はこちらの記事をご覧ください → http://d.hatena.ne.jp/ktakaki/20180802/p1
タイトルは「俺がDarkest Dungeonの世界に転生した件」にしました。

最初に渡されたのは、コラボキャンペーンで配布されたのと同じ、
8人のヒーロー(注:このゲームでは冒険者をヒーローと呼ぶ)の画像、
それもサイドビューバトル用の背景、これだけでした。

担当の方からは「サイドビューバトル素材があるからって、
必ずしも無理に戦闘を入れる必要はない」などご説明してくださいましたが、
せっかくコラボゲームを作る以上、本家を可能な限り再現したいと思うに至りました。
よって戦闘は入れたい、そしてダンジョン探索の要素を入れたい、と強く思っていました。

しかし、RPGツクールMVとダーケストダンジョンのシステムには
大きな隔たりがありました。
全てを再現するのは無理でも、可能な限りやってやろう……
そう思いながら制作しました。
詳細はこれから説明させていただきますが、
なるべく本家の魅力の片鱗、いやそれ以上のものを味わえるように
努力したつもりです。
このエントリは、全くシステムの異なるゲームを、ツクールMVで再現する際の経験談ということになるため、
珍しいシステムのゲームを作りたい人には参考になると思います。

ダンジョン内のマップ表示

本家ではダンジョンを進むとき、「どの方向でも左から右へ動く」
「敵は右半分に現れ、移動とシームレスに切り替わる」
という点が、ツクールMVとの大きな違いですね。
ダンジョン画面の背景がしっかり描かれています。

一方、ツクールMVでは、壁の模様を再現できませんし、
サイドビューのスタイルが、ダーケストダンジョンと逆です。
しかも、アクターのサイドビューアニメーションは、
フィールドのキャラクターとは異なります。
結果、ツクールMVの形式で、右側に仲間、敵は左側に設置することにしました。
つまり僕は、RPGツクールMV同様のシステムを取ることにしたわけです。
本家のダンジョンには、部屋があり、部屋と部屋をつなぐ廊下を作りました。
自動生成ダンジョンを導入し、
ダンジョンに入るたびに形が変わるのは、本家と一緒です。


自動生成ダンジョンの作り方は、
アドベントカレンダーの次の書き込み(12月4日公開)で紹介する予定です。
なお、α版をご覧になったスタッフ様は最初、
「あれ、左から右に移動するんじゃないの?」と言われましたが、
上記の理由があるため、納得してもらいました。

敵が現れた時

前述の通り、本家では通常移動と戦闘が画面変更なくシームレスに始まります。

しかしツクールMVでは、マップ上のキャラとサイドビューバトルのキャラ画像が
異なっているため、シームレスに戦闘に突入、ということも出来ません。

結果、ツクールMVのデフォルト戦闘に、いくつか機能を施した形で落ち着きました。
これでもDDの戦闘の魅力が、かなり再現できたと思っています。

町(Hamlet)における大きな違い

ダーケストダンジョンでは、ダンジョン以外の部分、つまり町並みを
一枚絵のクリッカブルマップで示しています。

一方、ツクールMVのコラボでは、町を、ツクールMVの町と同様に、動き回れるようにしました。

これは、せっかくツクールMVを使うのだから、
一枚絵にするより、MV風の町の中を散策して、情報を集めてもらいたい、
という理由によります。
なお、コラボのツクールMVでは、ダンジョンにいない間は、
酒場や修道院などのストレス発散施設などがありますが、
これらの重要な施設を町の入り口近くに置き、
あまり重要性のない施設は奥に置くことにしました。
例えば、本家には、サナトリウムの他に、
装備やスキルを上げるお店もあり、その他もありますが、
ツクールMVコラボでは、そもそも病気(disease)にならないこと、
そして、主人公(ヒーロー)たちが皆、自分のレベルで最高の装備をしているため、
必要のない施設なのですが、有益な情報を得るために残しています。
このあたりは、ツクールMVのユーザー層も納得していただけたと思います。

本家ではヒーローはキャラ使い捨て扱い。ツクールMV版ではルール変更

ツクールMVコラボでは、町の中心に「ロスター(roster)」という建物があり、
主人公ひとりは固定ですが、ここで7人の仲間から3人を選んで連れていきます。
もちろん、途中交代も可能です。

ロスターとは名簿とか登録者の意味で、建物の名前にするには
ちょっと不思議な気がしますね。
これは、本家では、画面右側に、現在仲間にしているヒーロー一覧が
表示されることにちなんで付けました。
本家では、駅馬車で新しいヒーローを仲間にすることがメインですが、
毎週毎週(注:ダンジョンに1回入ると一週間が経過する)
新しいヒーロー志願が増えていきます。
これは、本家ダーケストダンジョンが、ヒーローたちが敵にやられて亡くなり易いので、
2交代制、3交代制でパーティーを回していくことがよいとされてます。
つまり、キャラクターは使い捨てに近い状態で、
ランダムに作成された仲間志望が、次々補充されて行っている状態です。
探索で全滅したら、仲間を4人失う他、そこで手に入れた金品も戻りません。

一方で、ツクールMVのデータベースでは、
アクターは決められた分だけしか作れず、ランダム生成は難しそうです。
そこで、主人公達8人は、不死身という設定にしました。
これで「ヒーロー使い捨て」のゲームと大きく隔たりが出来ましたが、
その代わり、HPが減れば減るほど、ストレスを受けやすくなる、
という条件を付けました。
本家に倣って、ヒーローのストレスが100になると、そのヒーローは
おかしくなります(Affliction)。命令を無視したり、何もしなかったり、
他のヒーローにストレスをふりまいたりもします。
ストレスは最大200まで上がり、こうなると心臓発作を起こすなどして、
HPが途端に少なくなったり、突然死したりしてしまいます。
ここに目を付けて「仲間のうち3人のストレスが100を超えるか、
誰か一人でもストレスが200に達したら、強制的に街に帰還」
というルールにしました。
一見簡単そうに見えますが、
本家もそれに倣ったコラボ版も、ダンジョン内でHPを回復するのは
それほど容易ではなく、ヒーラーに相当する修道女(Vestal)などを
連れていっても、回復が追い付かないこともあるくらいです。
このため「HP減で被ストレス増」というルールが活きてくるのです。
戦闘中にストレスを減らす職業(クルセイダーやジェスター)もありますが、
早めのHP回復が重要になる、ということです。

本家にない「キャラクター性」を導入

ダーケストダンジョンは、キャラ使い捨てということもあって、
ダンジョンに潜るたびに、ロストすることもあるでしょう。
しかし、本作では8人がずっと不死身のままなので、
何らかのキャラクター性が欲しいと考えていました。
最初担当の方は「ローグライクだし、
そこまで各キャラのキャラクター性は必ずしも必要ではありません」
と伺いましたが、キャラが固定なのだし、何か個性を立てないと
淡白なゲームになると思いました。
そこでまず、最初の説明の段階で、8人のキャラクターが
分かるように、ちょっと工夫をしました。

また、ダンジョン内でキャンプを開いたときに、
皆が元の世界から持ち寄った身の上話をする、といった感じや
そこからEDでも、キャラクター性をかなり重視しています。

これは、昨今、キャラクター性を重視する作品が増えていることも意識してのことです。

キャンプ

本家ダーケストダンジョンでは、長いダンジョンに入る時は、
たきぎがいくつか支給され、任意の場所でキャンプを行うことが出来ますが、
ここは、ダーケストダンジョンで普段あまりセリフのないヒーロー達が
珍しく会話をする場面です。
食糧を使って食事をしてから、ヒーローたちが特有のキャンピングスキルを使い、
少し会話をしてから、一休み。その後、冒険再開の流れです。

僕がキャンプを作ることを提案すると、担当の方からも
「キャンプは是非入れてほしい」と期待されていたので、
MVリメイク版では、ボスの前にキャンプ用のマップに飛ばされる、
という形にしました。

ツクールMVリメイクでは食事のあと、いろんな回復が出来るようにしていますが、
キャンピングスキルは省略したため、誰を選んでも共通です。
また、ここでの会話を重視したのは前述の通りです。
誰を連れて行っても、異なる会話が準備されているので、
これを見るのも楽しみになると思います。
実際の本家では、運が悪いと夜襲(Night Ambush)され、
真っ暗な中戦いを強いられますが、ツクールMVリメイクでは
そういうことはありません。

ここまでのまとめ

以上のようにすることによって、
ダーケストダンジョンとRPGツクールMVの仕様は隔たりが大きいですが、
ツクールMVのゲーム寄りにしつつ、
ダーケストダンジョンの雰囲気を味わってもらえるようになりました。