神無月サスケの波瀾万丈な日常

神無月サスケのツイッター(@ktakaki00)を補完する長文を書きます。

ムンホイXP、中断していた制作を再開するにあたって僕の思いを吐露

皆さん、こんにちは。昨日( d:id:ktakaki:20090606:p1 )書いたとおり、中断していた制作を再開するにあたって、僕の思いをまとめました。長文ですが、Moon Whistle XP(以下ムンホイXP)に期待してくれている人には、お時間がある時にぜひ読んでいただきたいと願っています。

僕がムンホイXPを一旦制作中止にしていた理由

僕がムンホイXP体験版を公開後、様々な反響をいただきました。

「完成楽しみです」など、とても嬉しい意見をいただくこともありました。

……しかし一方で節操のない意見も多かったです。かなり強く、差し出がましい意見をしてくる人が少なからずいました。要望と文句ばかりで、作者の苦労をねぎらう言葉のない人。そういう意見にはうんざりしていました。
しかも、僕がブログの更新頻度を下げてからは、反響が少なくなったにもかかわらず、この手の「差し出がましい人」は筆が逆に進むらしく、しつこく書いてきていました。こういう状況では制作の気力も起きなくなるのも当然です。
そういった意見が僕の精神的負担になり、制作中止の原因のひとつになっていることは否定できません。

こうして、僕は一旦、ムンホイXPの制作中止を宣言しました。

……しかし、これを心の内に秘めたままお蔵入りにするより、きちんと僕の気持ちを話して、皆さんに原因を理解してもらったうえで制作再開したほうがいい、そう思いはじめました。
そこで、制作再開しようという気持ちが高まってきた今だからこそ、僕が今思っていること、ムンホイXP制作に対する、ためこんでいた心の内を吐露させていただきます。

はっきり言って、読んでいてあまり気持ちのよいものではないかもしれません。読むときは心してください。

反響でこんないやな気分にさせられたのは初めてです

体験版公開後寄せられた、一部の心ない反響を見るたびに、心底うんざりしていました。
はっきり言って、ゲームを公開した反響でこんないやな気分にさせられたのは、初めてです。
正直、「体験版なんか出さなければよかった」と強く思っています。いや、ムンホイのリメイク版制作の事実は、完成直前まで皆に明かさないほうがよかったのかもしれない、と思っています。


僕は、ゲームの反響、プレイヤーの意見をよく聞く方なのですが、それをいいことに、無茶な要求してくる人が少なからずいます。メールでのやり取りが多いため、表には出ていないのですが、あまりにも節操が無さすぎる、差し出がましい意見が来ており、僕の方では、それが重圧になっていました。
ある者は「そのままの移植をするべきだ。リメイク要素なんて望んでいない」と体験版をプレーしてシナリオを変更した部分をねちねちと言ってきました。後の伏線になっている部分もあるし、(オープニングのように)作っていくうえで改訂を加えていく予定の部分もあったのに、そういう部分を考慮せずに僕にしつこくメールを送ってきて、うんざりしました。
逆にムンホイ公開当時と今ではご時世が違うから、当時のシナリオのまま出しても流行する可能性は低い」と、いう意見も数人いました。はっきり言って、この時点で前者の意見と矛盾しているんですね。
僕も「そういう意見もあるものだと受け取ります」くらいの気持ちで受け取れるような書き方ならいいんですが、彼らは明らかに「自分はこういうのが好きだからこうしろ」と強く要求をしています。


制作する側の苦労や、こっちにも考えがあることを考慮せずに、一体あなた方は何様のつもりなんですか?
(注:これを読んで「自分も当てはまるのではないか」と思っている方へ:該当者には、僕から直接メールで文句を言ったり、現在アクセス禁止をしたりしています。それ以外の人は皆、該当しません。ご安心ください)

「そのまま移植すれば楽」というのは誤解

無神経な意見の中で特に多かったのが、「そのまま移植すると楽でしょう?だから変更せずに移植してください」という意見。
答え。そんなに楽だと思うのなら、あなたが僕の代わりに移植作業を引き受けてくれませんか。


なんだか皆「そのまま移植するほうが、リメイクするより簡単だ」と思い込んでいる。でもそれは誤解です。
RPGツクール95からRPGツクールXPへの移植は、ツールの性質の違いから、そのまま移植するのは容易ではありません。お互いのツールの癖を考えて、いろいろとアレンジを加えたほうが簡単に移植できる場合も多いくらいです。
RPGツクール95とXPの両方を知っている人なら分かると思いますが、両者の共通点は画面の解像度と素材の規格だけ。イベントを移植する場合でも、単純に書き写すだけ、というわけにはいかない。例えば、特に一番大きいのはウィンドウの1行の文字数。ツクールXPの方が文字数が少ないので、言い回しを変えたり、ウィンドウを分けるなどの工夫をしないと、ウィンドウ内に入らない。また、自動実行の仕様の違いがかなり大きい。だから同じシーンを再現するにしても、組み方を全面的に見直す必要がある。

そのあたりを理解しないで「ただ単純に移植すれば楽でしょう?」みたいに移植する人間の苦労を考えない無神経な意見が多すぎて、正直うんざりしています。

それに「みんなが望んでいるのは単純な移植だ」というのなら、誰かがRPGツクール95作品がWindows XP以降で問題なく動くエミュレータ(D2WinのRPGツクール95版のようなもの)を作ってくれるのを待てばいいでしょう?と言いたくもなります。

正直、新作一本作るのと同等以上に苦労しています。
そのあたりの苦労も知らずに、僕がしているのは「楽な作業」だと思われてしまっているのは、とても精神的につらいです。


……なお、「移植作業は楽ではない」ということを示すエピソードがあります。
現に一人「単純移植でいいなら作業を引き受けたい」という人がいたから僕はその人にRPGツクール95も渡した(中古で買ってみた)のにその人は「文字がはみだしたとかエラーが出る」とかその時点でつまづいて移植作業をやめてしまいました。諦めの早さに、正直あきれてしまった。彼からすると、「もっと移植は楽に出来るもの」と思い込んでいたに違いない。あなたのムンホイにかける情熱とはその程度のものだったのか、と。


しかし彼だけを責めるつもりはない。僕に「単純移植でいい」と言っている人の大半は、同じように「単純移植は楽なもの」と考えているのだろうから。

はっきり言う。金でももらわないとやっていられないほど、大変な作業です。
文句があるなら、誰か僕の代わりに移植作業を引き受けて欲しい。今度は、上記のような差異が見つかって困難が生じても簡単に諦めずに、きちんと責任を持って最後までやってくれる人にお願いしたいのだが、どうだろうか。(いませんよね。要するに僕がやるしかないんです。)

皆さんは「プレーしてやってる」って気持ちなのですか?

ここまで書いて、皆さんの反省の声に混じって、逆切れの声が聞こえてくる気がします。

「プレーしてやっているんだ、感想を送ってやっているんだ、だから作者であるお前はありがたく思うべきだ。それなのに、何をえらそうに」……そんな声が空耳します。
実際、メールでの差し出がましい意見を見ていると、そういう上から目線が多いように思えます。

フリーゲームとは無償の施しのはずです。僕はプレイヤーの皆さんが喜んでもらうつもりで作っていたはずです。
しかし、それに対して彼らはこういうでしょう。「お前が作りたくて作った自己満足の作品だろう?それをわざわざ時間を割いてプレーしてやっているんだ」と。

はっきり言います。リメイクに関しては、自己満足と無償の施しが 3対7か2対8のつもりでやってきました。かなりストレスの溜まる作業も多いのに、我慢しています。それなのに「嫌ならやめればいい」という意見ばかりなら制作をやめますし、実際、一度は制作中止、お蔵入りにしたわけです。

しかし「嫌ならやめればいい」という人ばかりではありませんでした。制作中止を表明した後、「残念です」というメールが複数届きました。(おそらくそれ以上に、僕の気を遣って連絡せず、心の中でそう思っている人は多いことでしょう)

だから僕は待ってくれている人のために制作再開を考えていきます。

無神経な意見を言う代わりに「けなし代」を払って欲しい

このように、僕がフリーゲームとして制作してきたムンホイXPですが、これだけ、体験版に対して無神経で差し出がましい意見が続出しており、正直気分を害していました。どう対処していくのか考えていました。


そこでたどり着いた結論はこうです:
『もう、ムンホイXP完成版は、シェアウェアにしてしまおう』


この結論にたどりついた経緯を説明します。

市販のゲームであれば、プレイヤーはお金を払っているのだから、文句を言う資格はある。くそゲーハンターはそれを「けなし代」と表現しました。(参考URL: http://netcity.or.jp/otakuweekly/PRE0.7/column2.html)
ムンホイXPにも、この「けなし代」としての料金を導入しようと考えたのです。

すなわち、ムンホイXPに対して「ブログでも匿名掲示板でも自由に言いたい放題、作者に対しても自由に批判要望を言う権利」に対する対価をプレイヤーの皆さんからお支払いいただく、ということです。
もちろん、ゲーム本体自体にも、有料化できるくらい細部までこだわっている自負はありますし、サポートの責任を負うことについても、自信はあります。それなのに、これまで有料にしてこなかったのは「皆さんからの反響こそが最大の報酬」と考えていたからです。
ところが最近は、苦労して作った作品を、無償で公開した結果、わざわざけなされる。
なぜ、タダで嫌なこと面倒なことを引き受けなきゃいけないのか。こういう場合、けなす側がけなされる側に、代金を払うのが筋ってものではないでしょうか。
そう。「けなし代」を払っていただけるのなら、お客様は神様。僕もちょっとやそっとのことなら、十分我慢できます。根気強く付き合います。

シェアウェア化についてはまだ白紙だが、皆さん留意しておいてほしい

一方、僕の作品をけなさない人も、どうかムンホイXPをシェアウェアにすることを許していただけないでしょうか。

僕は「お金を払ってもプレーしたい」という人にこそ届けたいと思っています。そういう方なら、何よりも、僕の苦労を、文字通り、シェアしてくれると思っています。当時オリジナルのムンホイをプレーしてくれたとき子どもだった方も、今では千円や二千円くらいのお金は、自分のお小遣いの中から払える余裕があると思います。
僕が皆さんに経済的に甘えることで、僕も制作を安心して進めることがことが出来る、そんな形になるわけです。

……このあたりのシェアウェア化については、まだいろいろ議論があるでしょう。例えば、「カンパウェアにしたらどうか」など。それについての是非は、まだ検討しません。
そこは今後ゆっくり考えることにして、今は制作に専念したいと思います。もう少し制作が進んでから、改めて意見を求めるなり、方針を決めるなりしていきたいと思います。

結論

一旦はお蔵入りにしたムンホイXPでしたが、日を追うごとに「僕が若干の犠牲を払ってでも、完成させる価値はある」という気持ちが強くなっています。

このため、僕は制作を再開することにしました。僕の日常の活動でも変動が多い時期なので、いつとは言えませんが、確実に進めていきたいと思います。

……ただ、その結果、今度は僕から皆さんに何らかの対価を求めるかもしれない。でも、不特定多数の悪意にさらされた今、今度は心ある皆さんからの善意に甘えることも必要だと思っています。

僕が制作を続けるために、雑音に屈しないためにも、何らかの手段を考える時期なのだと思いました。「シェアウェア化」は、一つの案ですが、今後、考えて行きたいと思います。


今は、僕の制作を、距離を置いて見守ってくれたら幸いです。